クロニスの星霊祭の開催が始まった。伝統の舞を披露する者、それを見学する者、花より団子の者と、大いに盛り上がる。
長老衆の一人でキュレネの乳母であるオリンは、レダ族に伝わる星霊の伝説を披露する。「鳳」「獅子」「龍」「人」の四柱からなる守護神「星の護り手」の伝説である。『星霊』とは人々の魂に宿る星の意思のことで、ステラマリス人をイリテュイアに引き寄せたのも星霊の意思によるものだと(共存派の間では)考えられていると言うのだ。
もっとも、全てのレダ族がステラマリス人に友好的という訳ではない。北の山の陥没地点「穴」の調査を申し出たハンターたちは、長老衆の一人でステラマリス人に嫌悪感を抱くクドーラの反発に遭い、難儀していた。「穴」に落ちてしまったという祭壇の引き上げを持ちかけて懐柔しようとしても、山の一帯は余所者の立ち入りは禁止だと言って聞き入れない。交渉は平行線の様相を呈するものの、何とか、オリンの仲裁でによって探索許可が出されることになった。
「穴」に入ったハンターたちは、そこが古い洞窟で、奥には神殿が隠されていることを発見する。そこには四体の像があり、像が取り囲む中央には、何か破壊された封印の跡のようなものが見受けられた。しかし、詳しく調べようとする前に地震が起こり、崩れて落ちてくる瓦礫を破壊しながらその場を逃げ出すことになる。
一方で、懸念されていた共存反対派の妨害工作も幾つか相次いでいる。入り口付近に強力な爆発物が仕掛けられたり、トレーラーの事故を装い、処理に駆けつけたハンターたちをスレイヴドールに襲わせるなどの事件が起こり、小競り合いが続く。また、クロニスに向かっていたレダ族の若き族長キュレネの元にも刺客が向けられ、激しい銃撃戦となるが、あわやの危機に颯爽と駆けつけたハンターたちの活躍によって救われる。ここで屈するわけにはいかないと、決意を新たにしたキュレネはクロニスに向かい、星霊祭は前途多難の様相を呈するのであった。
「え〜ん、え〜ん」
どこからか聞こえる泣き声に、警傭で巡回していたアルファス・レイフォードは木陰で座り込んでいるミーア族の少女を見つける。
「ん〜?どうしたんだい」
アルファスののんびりした口調と、同族であることの安心感からか、少女はアルファスの胸にしがみつくと、更に泣き始めた。
「う〜ん、困ったなあ……」
嬉しそうに笑いながら、少女はアルファスの肩に乗っている。入り口付近に怪しげな箱を置いていた男たちに怒鳴りつけられ、怖くなって泣いていたと言うのだ。
「どうしましょうか〜」
「アルファス、入り口は私たちに任せろ」
「そうですよ。アルファスさんはその子を見てらして。ご両親が心配なさっているかも」
イェルガー・グリーンゴウトとアヤネ・セラフィールに促され、アルファスは子供と共に、歩いていった。イェルガーとアヤネが少女からの話にあった入り口付近の木の辺りに殉かうと、そこには、レダ族の少女が何かちらちらと覗き込んでいる。
「貴公、何をしているんだ?」
「どうも、申し訳ないです。警備の途中で、何かこの箱が気になりまして」
「それで、あなたは?」
「あら、申し遅れました。私はカーテローゼ。カーテローゼ・アウロウスです」
「私の名はイェルガーだ。この箱だけか?他に誰か男たちは見かけなかったか?」
「はい。箱だけでしたが。他に何か?」
「そうですか。実はですね……」
一連の説明をする二人。その後、箱を開けてみようということになる。すると、カーテローゼは、突然召喚を始める。
「おいで、ワルター」
現われたのは、一匹のプティハウンドだった。そして、箱の傍に待機させる。
「さあ、始めましょうか?」
「なるほど。では、私も」
アヤネはレーザーソードを手にし、イェルガーもハンドガンをホルスターから抜く。そして、箱に近づき、蓋に手をかける。
「それでは、開けるぞ」
イェルガーの言葉に、頷く二人。勢い良く蓋を開け、一同は身構える。だが、別に何も起こらない。中に何かが隠れているようなことはなかったようだ。しかし、その中身に三人は息を呑む。箱の中には、ギッシリと機械が詰まっていた。
「……爆弾か。しかもこれは」
「ええ。かなり強力な物のようですね」
「さて、どうしましょうか……」「う一ん、疲れたあ!」
ミュウ・オースティンはキャップをかぶり直す。巡回のメニューをひとしきり終わらせ、休憩に入ったところだった。周りには、他にも同じように休んでいる者たちがいた。
「ミュウ様もご休憩でございますか?」
そこに、メイド服をヒラヒラさせながら、ヴァイオラ・ノインツィヒが現われる。
「あら、ヴァイオラ。お疲れ様。そういえば、どこに行ってたの?」
「お疲れ様です、ミュウ様。私は、最近の地震や陥没について調査しておりました」
「そうだったの。で、何か分かりましたか」
ミュウは興味ありそうな表情で尋ねる。
「はい。当初は地震は火山の噴火の前兆だと考えておりましたが、祭壇の陥没のあった北の山周辺を調査した結果、現状では死火山の可能性が高いと判断しました」
「そう。では、やはり偶発性のものなのかしらね。……でも、なんていうか、見えない何かが」
独白するミュウの呟きをヴァイオラは耳にするが、答えることはできなかった。
「皆さん、お茶ですよ〜!!」
明るい声に二人は振り返る。そこには、トレーにのせたお菓子や飲み物を休憩中の人たちに配っている女性がいた。リプシー・ルージュだ。二人に気付いたような彼女に、ミュウは軽く手を振り、ヴァイオラは会釈する。
「ミュウさん、ヴァイオラさん。飲み物でもいかがですか?冷えてますよ」
「ありがとう。いただきますね」
「私は大丈夫です」
あちこちからかかる声に、リプシーは忙しそうに動き回っている。
「大変そうね、リプシー」
「ええ。でも、これくらいしかお役に立てませんし……」
微笑みつつ、遠慮がちに答えるリプシー。
「あ、そういえば、聞きましたか?」
リプシーは思い出したように言う。ミュウとヴァイオラは首をひねる。
「なんでも、入り口の辺りで爆弾騒ぎがあったようですよ。物騒ですね」
「ええ〜!!」
驚きに声を上げてしまう二人の姿に、リプシーはきょとんとしていた。「リリシアさん。あれ、どう思います」
マルガリーテ・フォーリンスカイの指差す方に、リリシア・イクサムは目を凝らす。
「煙、か。でも、変だね。あんな所に煙が立つような物も、別に施設もないはずだしね」
「そうですよねえ、あたしもそう思うんですけどねえ」
「ここにいても仕方ないし、取りあえず、行ってみようか」
リリシアとマルガリーテはクロニスから少し離れた平原へと向かっていく。そこに通りかかったのは、、ちょうど爆弾騒ぎの手伝いをしていたクレフト・テュフォーネとリーン・ペルの二人であった。二人は、リリシアの話を聞くと、一緒に行くと言い、かくして四人は、同行することになった。
「……あれですか?どうやら、トレーラーのようですね」
「酷いわね。横転して、炎上したのかしら。ちょっと待ってて」
そう言って、リーンはクレフトを連れ、トレーラーに近づく。少しの間、周囲を見て回っていた二人だが、やがて、手を上げてリリシア達を呼ぶ。
「見て、運転席には誰もいない」
「それどころか、気配すらないんです」
「どういうこと?」
「恐らく初めから誰も乗ってなかったんです、このトレーラーには」
「じやあ、つまり……」
四人は息を飲む。…気に緊張が走り、身構える。辺りに気を配っていたその時。鈍い音と共に、コンテナが開き始める。
「どうやら、罠だったようですね」
クレフトはヒュージブーメランを握り、力いっぱいコンテナの方へ投げつける。
「来るよ、皆!!」
リリシアが叫ぷ。散開する四人。そこへ、コンテナから三体のスレイヴ・ドールが飛び出してくる。その横をすり抜けていくクレフトのブーメラン。意に介すことなく、スレイヴ・ドールたちは突っ込んでくる。
「やめて!どうしてこんなことを!?」
リーンは必死に叫ぶ。彼女としては、理曲はどうあれ、戦いは避けて通りたいのだが。
「ボサッとしない」
スレイヴ・ドールの鋭い蹴りからリーンを庇い、リリシアは手にしたハンドグレネードを叩き込む。吹き飛び、爆発するスレイヴ・ドール。見ると、戻ってきたブーメランを掴み、振り下ろしたクレフトの一撃が二体目を粉砕していた。
「危ないじゃないですか!」
マルガリーテのレーザーソードがもう一体のスレイヴ・ドールを両断する。
「ふう。終わったみたいですね」
「しかし、一体誰が……こんなことを」
「決まっておろう、反対派の連中だ。リーン。おぬしの気持ちは分かるが、話し合いで解決できる問題ではないと思うぞ」
話し合う四人の背後で、何か動いたように見えたマルガリーテ。だが、あるのはスレイヴ・ドールの残骸。気のせいかと注意が逸れたその時、残骸が勢い良く立ち上がり、リリシアヘと向かってくる。油断で反応が遅れた一同が危機を感じた時。一発の銃弾が、スレイヴ・ドールの額を撃ち抜く。機能を停止し、崩れ落ちるスレイヴ・ドール。視線を凝らしても見えないその先には、コンバーチブルライフルのスコープから視線を外すアルファスの姿があった。
アルファスさん渋っ。Scene.3冒頭の昼行灯っぽいところと、ラスト1行とのギャップがカッチョイイです。
戦闘の描写に比較的多くの紙幅が割かれ、コンシューマRPG風な「神殿」の描写と相まって、全体的にライトファンタジー風味の冒険活劇という印象。隠し通路の壁を武器や魔法の攻撃で切り崩したり、落ちてくる落石を遠距離攻撃で打ち落としたりする描写や、キュレネの危機に駆けつけたハンターが啖呵を切ったりする描写はマンガみたいなノリ。イベントの紹介記事から、もう少しお堅い雰囲気を想像していたので、ちょっと面食らってしまいました。
いや、こういうノリは嫌いではなくて、むしろ好きな方なのですが、それならそういうアクションをかければ良かったなあ……ってな具合に後悔。思いっきりハズしてしまいましたから。
次の回はますますバトル中心になるそうです。
■目的
災害に備えて避難経路を確保
■動機
陥没ができた……という話を聞いて、火山噴火の前兆を連想しました。そういえば、火山性の地震は、噴火の直前には一時的に回数が減る場合があるそうでございますよ。
■プロット
地震の原因は火山によるものという予想の元に、衛星軌道から撮影された地図を元に地形を調査し、溶岩や火砕流の流れる経路を予想してハザードマップ(災害地図)製作。火口が複数箇所にできる可能性も考慮します。
祭りの準備のために現場に立ち入れず、詳しい測量ができないのは残念でございますが、その辺りの石ころから地質を調べて溶岩の成分を調べれば(花崗岩か玄武岩か、それとも未知の成分なのか)、ある程度は火山の性質を見極められますし、住人から証言を集め、火山噴火の前兆となりそうな情報を集めることも重要でございますね。
その上で、避難経路を確保します。それと、一番大事なことですが、関係者を集めて事前の避難訓練を重ねることも必要でございますよ。
実際に噴火が起こった場合。献身的な救助活動、なんてのは(憧れはしますけれど)私の性には合わないので、他の方に任せます。それは危険を厭わないハンターの美徳でございましょうけれど、私は御免でございます。むしろ、自己犠牲の名の下に無謀な行動を行う者を止める立場でございます。そのような英雄的行動には、どうしようもなく憧れはしますけれど。