シアの討伐が再開された。かつて『グリューン』の代表者であったシウリナは、シアに対してステラマリス人との和解を説くが、考えを改める気のないシアはそれにレーザーソードの刃で返事を返す。
一方、毒ガスによって帝都殲滅を図ろうとするラピピたちを迎え撃つハンターたちは、三位一体のジェッ○スト○ームアタックを得意とする三匹の黒ラピピに苦戦するものの、照明弾を使った目くらまし作戦が功を奏し、黒ラピピの捕獲に無事成功する。
森の奥地を目指したハンターたちは、そこでシアと交戦するが、ハンターの作戦によってシアの生け捕りに成功する。しかしそこに全ての黒幕、レシア・ドートが現れ、シアの無能ぶりを慇懃無礼になじると、機密保持のためと称してシアの仲間たちが住む集落を爆弾で爆破してしまう。
ハンターたちは、爆破されたラピピの集落でラピピたちの救助と犠牲者の埋葬を行う。プテルナは、シアがレシアから守るようにと命じられていた集落中心の塔には何か秘密があったのではないかと推測するが、塔は跡形もなく吹き飛んでおり裏付けは取れない。シアがレシアに連れられて『守護者』の力を授かったという巨木についても、シアの記憶が欠落しているために場所はわからない。
失意のシアは、ハンターたちに仲間の救助を手伝ってもらった礼を言うと、生き残ったラピピたちと共に森の奥へ姿を消すのであった。
移民船内に広がる第五都市の街並み。その一区にハンターの仮借舎が設けられている。ヴァイオラ・ノインツィヒは謎に包まれた凄腕ハンター、フェイヴンの部屋と通路を隔てる扉の前に立っていた。
フェイヴンの強さに興味を持ったヴァイオラは、ハンターズギルド監査官という立場を利用して、独自の調査を開始したのであるが、フェイヴンには上手く避けられているようであった。
「室内をサーチしてもいらっしゃりませんわね。監査官の召集を無視して、どちらに行かれたのでしよう……」
ヴァイオラは頭部のアンテナをたたみ、腕時計を見た。部屋の前に立ってから小一時間程経過している。
ヴァイオラは小さく溜息を吐き、事前に調査したフェイヴンの経歴を思い出した。それは可もなく不可もなく、特に目立った事のない経歴の数々である。
「……あの強さの秘密、フェイヴン様も赤ラピピ同様に『加護』を受けられたのでしょうか……」
ヴァイオラは呟いた。疑念は真実を覆い隠す霧のように溢れ隠した。今は霧を吹き飛ばす風を待つしかない。○
更にしばらく待つとヴァイオラのセンサーが通路に現れた人の気配を捉える。
「……フェイヴン様。ずいぶん待たせて頂きましたわ。今までどちらにお出でになられたのでございますか?」
ヴァイオラは通路の先から歩いてくるフェイヴンに嫌味を込めた言葉をかけた。
「……上手く逃げたと思ったんだけど、まさかここまで追ってくるとはね。何か執念じみたものを感じるな」
フェイヴンは苦笑いをして溜息を吐いた。
「本日を含めた全ての監査官召集に応じられないようでしたので、足を運ばせて頂きましたわ。これからお話を伺いたいのですが、よろしいですわよね?」
「ノーと言っても無駄なんだろ? 少しならいいぜ」
フェイヴンは自室のドアを開け、ヴァイオラを通し入れようとする。
「……こちらででございますか? 失礼ではございますが、フェイヴン様は大変な女性好きと聞き知っておりますので……。そのう、場所をかえお話をいたしませんか?」
ヴァイオラは顔を赤く染め、フェイヴンの部屋に入るのを躊踏する。
「……悪いけど人形には興味ない。安心しな。しかし、それでも嫌だと言うなら帰ってくれてもいいんだぜ」
フェイヴンの気にさわる言葉に少々腹を立てたヴァイオラであったが、部屋にフェイヴンの秘密を知る鍵があるかも知れないという探求心に代わり、部屋に足を踏み入れた。
部屋は机に椅子、それにベッドだけが置かれた酷く殺風景な部屋で、生活感は感じられない空間であった。
「何をボーっとしているんだ? 適当に掛けてくれ。といっても、そこの椅子くらいしかないけどな」
フェイヴンの言葉のままにヴァイオラは椅子に座る。フェイヴンはベッドに端に座ると話を急かすように切りだした。
「で、監査官が俺に何のよう?」
「はい。正当な理由もなく、フェイヴン様のような優れた能力の持ち主が、5thランクに留まっていらっしゃるのは、ギルドにとってもマイナスですし、ギルド人事部の手落ちとも考えられますわ。審査の上、しかるべきハンターランクヘの昇進を上層部へ進言させて頂きますわ。その為、しばらくの間、フェイヴン様と行動を共にさせて頂きます」
ヴァイオラは言葉の終わりに笑みを浮かべた。
「なるほど……。今の立場が気楽でいいんだけど、それは強制?」
フェイヴンは難しそうな表情で質問をする。
「はい。それが監査官の務めですわ」
「……そう。それじゃ、勝手にやってくれ。ただし、キミがついてこれたらの話だけど」
フェイヴンが席を立った。
「どちらへ?」
フェイヴンの行動に合わせて、ヴァイオラも席を立つ。
「バスルーム。シャワーを浴びにね。……仕事の前には必ずシャワーを浴びることにしているんでね」
「そ、そうでございますか。では、待たせていただきますわ」
ヴァイオラは顔を赤らめ、再び椅子に座った。
ソニアさんに頭を踏まれた黒ラピピには「俺を踏み台にしたなァァァァ!!」とか言って欲しかったところ。
リトス、プテルナ、ティタが活躍するのは前作ファン向けのサービスだとして、フェイヴンのこれみよがしな強さだけは不自然なものがあります。
別にマスターのお気に入りNPCが大活躍しているという印象でもなく、前作からのNPCを差し置いて、何の思い入れもないキャラにPCの活躍の場を奪わせているような印象です。
前回のリアでは、プテルナが、その強さに疑問を抱く描写があります。これがPCや、他のNPCの台詞であれば、超強いNPCに嫉妬する描写に見えてしまうところですが、鳴海マスターのシナリオを代表するNPCである1stハンター、プテルナの台詞であるところに意図的なものを感じました。
で、「実はこのキャラって憎まれ役なのでは?」とか思ってみたわけです。
で、今回の結果では、フェイヴンの登場はこのシーンだけで、何もわからなかったのですが。
しかし、Scene.2を丸々フェイヴンと二人っきりで使ってて(他にフェイヴン絡みの行動をかけたPCがいなかったのでしょうけど)、それなりに紙幅を裂いているところを見ると、少なくとも前回プテルナを疑ったよりは核心に近いのかな、と思っています。
少なくとも、「やっぱり本人の言うように、実は陰で血のにじむような努力している格好いい人でした」というオチはないでしょう。
それにしてもヴァイオラ、最近セクハラされてるシーンが多いような気が……。
■目的
フェイヴンの強さの秘密を探る
■動機
根拠のない疑念でございますが、フェイヴン様は、あの赤ラピピと同じ「加護」を受けた者ではないでしょうか?
■プロット
ハンターギルド監察官の権限でフェイヴン様の資料を取り寄せて、経歴を調べさせて頂きます。過去に何かトラブルを起こして降格処分を受けたというのあれば、納得もいたしますが、そうではなく、冴えない一介の5thハンターであった者が、ある時期から急に強くなっているというような兆候があるのなら、疑念の裏を取るために、監察官としてフェイヴン様に同行させて頂きます。いずれにせよ、フェイヴン様のような方が、正当な理由もなく5thに留まっているのは、ハンターギルド人事部の手落ちが疑われますから。(手落ちの可能性をフェイヴン様に謝罪した上で)審査の上、昇進を上層部へ進言すると言えば、フェイヴン様にとっても悪くない話ではないでしょうか。それにフェイヴン様の単独行動を監視し、他のハンターとの連携を便宜したり、シアとの戦いをサポートしたりする意味もありますわ。
疑っていることは、なるべく悟られないように注意したく思いますが、気取られてしまった場合は「ギルドを通さない非合法な活動で腕を磨いていたり、任務達成の報告義務を怠ったりしているハンターを発見して取り締まるのは、ハンターギルド監察官の務めでございますから」と居直ります。ですが、レシアとの関わりを疑っている点だけは気取られないようにし、深入りしすぎないように注意いたしますわ。
予想の確証が得られた場合には、同じハンターギルドに所属する職員や監察官、もしくは個人的に信頼のできるハンターなどに相談し、その上でリトス様やプテルナ様らに報告することにいたします。