ステラマリス・サガ 天上の楽園へ
イベントリアクション1405 クレーター観測ツアー?? 第2回

「黄沙の大地にあるもの」

碧野早希子マスター執筆


リアクションあらすじ

 見渡す限りの死の大地が広がるグランダ・クレーター・エリア。遺跡らしきものが出てきたことで、この地がかつて人の住んでいた土地であった可能性が出てきた。降石予報士のスオミは、そのような被害を出さないことが自分の戦いなのだと決意を再確認する。
 ハンターらは二手に別れ、白骨遺体の調査、及び、クレーターや白い石(遺跡)の調査に当たった。あれこれと想像を巡らせたり、自説を披露したり、状況を詳しく調べたりするハンターたち。隕石の元となるイリテュイア・リングは、かつて衛星セレノスと一つであったことから、今回発見された遺跡や人骨と、「セレノスの魔女」事件の起きた遺跡とを関連付ける推理も数多く出されたが、これは後の調査で否定される。
 遺跡については、脆い材質の白い石でできた家一軒くらいの簡素な構造の住居で、内部からは素焼きの陶器や動物っぽい形の埴輪、そして、獣人が狩をする様子を描いた原始的な壁画が発見された。壁画には豊かな自然と二つの丸い月が描かれていたことから、ここはセレノスが破壊されて隕石が降り注ぐ以前のもの(後の年代鑑定の結果では、1,000年から5,000年前のもの)であることが判明する。
 白骨遺体は、それが200年ほど前に死んだミーア族の男性のもので、遺跡とは無関係なものであることが判明する。なぜ、このような場所で発見されたのかは不明である。
 さて、ハンターらが調査を行っている中、一つの隕石が落下する。スオミが瞬時に隕石のサイズと被害の規模を予想して警告を発したため、ハンターらは爆風の被害を免れる。ハプニングはあったが、ともかく無事に「クレーター観測ツアー」は終了したのであった。

ヴァイオラの登場シーン・ピックアップ

Scene 3 「白骨遺体の調査」より

 白骨遺体のあるクレーター。
「早く誰かを調べて、家族とかペットとかに知らせてあげないと……お墓作ったりしなくちゃ辛いしさ」
 泣き顔のラディ・フェリローズイザーク・ファーレンスは少し首をかしげる。
「もし最近のだったら連絡しなけりゃなんねえんだが、もっと古い時のという事も否定できねえ」
「そりゃそうだけどな……でもボクには辛いよ」
「でも白骨遺体があるって事は……ここは危険な場所だという事よね」
 アイラ・ミシェルがそれを踏まえて調査の護衛をかってでる。安心して調査して、と。
「もしかしたら、きっと何処かのアナウンサーみたいに降石を見に来た物好きの上に、間抜けにも隕石が直撃したんじゃないのか?」
 エミリアに聞こえるように冗談交じりで語すルース・サーバインだったが、「それはないだろ」と周囲から突っ込まれる。
「だから冗談だってば。俺の仮説だが、いつ降石があるかも分からない場所に家を建てて住もうなんて奴はいないだろうし、白い石を建造物と仮定すると、そのような手間のかかるものをこんな場所に作ったという事は、儀式用か特別な施設か――」
 或いは隕石のない頃、つまりイリテュイア・リングの出来る前に集落があって、白骨遺体はそこの住人と考えられないか? という事だ。
「――だったら面白いんだけどなあ」
「ルース、その仮説は納得できる範囲かもしれないが……」
 興味深そうに頷くイザーク。マロニエ・シャムシールは別の事を思い出したようだ。
「これも考えられないかしら? ほら、あのセレノスの事件。隕石もセレノスも、元は同じ一つの衛星だった訳だし」
「マロニエ様も同じ事を考えていたのでございますか」
 ヴァイオラ・ノインツィヒも同意見だったようだ。
 もし遺跡が埋まっているとすれば、遺体の人物はそこに入り込んでガーディアンに殺されたと考えられる。完全に白骨化した遺体、この辺りで遺跡が発見されたという話を聞かない――マロニエはそれらを総合して、一つの推論を考えてみた。
「白骨は遺跡と一緒に『空から降ってきた』のではないかなと。セレノスとリングが衛星だった頃に、古代人が暮らしていた可能性が考えられるわ」
「でも……そんな事が有得るのでございましようか?」
 否定的な疑問を口にするヴァイオラ。が、マロニエの空からの落下説に賛成するレイス・カルヴンクルス
「私もマロニエの説を支持します。というか、実は私も同意見なんですけどね。でも少し違うんですけど……」
 彼が言うには、クレーターを狩場としている飛行出来る大型のクリーチャーによって、高空から叩き落されたのではないかという点だ。
「もしそのクリーチャーが出てきて逃げられない状態な時には、私が囮となりますから」
「でもですね、レイス様……そういったのは見かけておりませんが。ここは降石の場所、わざわざ危険を冒してまで狩りに来るのでございましょうか? しかも命のないこの乾燥地帯に」
 ヴァイオラの言葉にレイスは考えてみたが、
「小さな虫ぐらいは俳個している筈です。仮に迷い込んだ動物がいたら、ご馳走と考えてもおかしくないですよ」
「俺はエサにされるのはごめんだな。それよりも、他に白骨遺体と白い石の撮影手伝ってくれる奴はいないのか?」
 ナナイ・サーアイヴァーは報道用のカメラを担いでいる。しかも重そう……帰る時には肩こりになっているかもしれない。周囲を見渡すが、ファランクス以外、皆その重量感に圧倒されて、拒否する。
「まあ……皆忙しいんなら仕方ないか。俺達だけだけでやろう」
 担いでいるとジャーナリストっぽい心が芽生えてくると、満足げに語るナナイ。セリュシ・オーシャンは古代人の遺体説も気になったが、とりあえず周囲に散らぱっている骨を回収して欲しいと皆に言う。
「バッカスもお願い。仏さんを復元したら、スオミに身元調査をさせるからさ」
 彼女のプティハウンド、バッカスも主人の為ならばと行動を開始する。
「あの……もし身元調査でも分からなかったら、裏付けを取る為に、魔導科学開発局へ持ち帰って年代測定をしたいんだけど」
 マロニエの申し出にラディは驚くが、セリュシは調査が終わったらラデイの気持ちも考えて墓を作る事を条件に頷く。
 リーン・ファーティアシズ・バランシェに、骨が散らばっている範囲を特定してもらっている。
「リーンさん、一応範囲はこのクレーター内ですね。他のクレーターにも飛び散っている可能性は低いです。このお椀型は少し深めですから、それが壁となってはね返った可能性も否定できません」
「そうか。しかし……刃物特有の傷がないって事は、毒物か首絞という事になるな」
「この遺体の性別は、どうやら男性のようです。骨盤が一部欠けているだけですが、殆ど完壁な状態で残っておりました。それは女性の標準体型よりも狭いので」
「じゃ、とりあえず拾って……うわっ!」
「どうしました?」
「骨が崩れた……脆くなってるんだ。おーい、セリュシは医者だったよな。この場合はどうするんだ?」
「骨が崩れたのかい?相当長い時間日に当たったって事だね。とりあえず、そのままにしておこうさね」
「それじゃ……持ち帰る事は難しいって事?」
 不安になるマロニエ。
「一部なら持って帰ってもいいんじゃないのかい? でもこの遺体は、自然に返っていく途中だったのかもしれないね」
「で、結論は出たの? この白骨が何故こんなところにあるのかっていう説明をね」
 アイラはもう終わりかなと思ったらしく、口に出したのだが、
「これは俺達ステラマリス人がイリテュイアに来る前に、既に亡くなっていたって事か?」
「イザーク様の言う通りかもしれませんね。とりあえず状況をメモしておきましょう」
 ナナイに撮影を頼み、メモを取るヴァイオラ。ルースは「やっぱり古代人なのか?」と質問してみるが、詳細が出るまで少し待たされる。
「ステラマリス人がここへ移住する前だとすれば、種族はレダ族かミーア族かが特定できますね」
 シン・マジャストは、普通の人間ならば単身で降石のある場所へ行くとは考えられないのだ。それに隕石に巻き込まれた原因でもない事も考えた。周囲の金属同様に溶ける筈だとも思ったのだ。
「んじゃ、それまでクレーターを掘ってみようぜ。何か出てくるかもしれねえぞ」
 ナッツ・マカパルトが何処からかスコップを持ち出し、シンに渡す。
「何か……都市開発や道路工事をしているみたいです」
 うう〜と泣きたくなりそうなシンを横目に、スピードも速く掘り下げるナッツだったが、暫くして腕を止めた。
「つ……疲れた……しかし見つけちまったぞ、金属の塊がな。しかも銀っぽいのも混じつてる」
 膝くらいの深さまで掘り進めて、これだけでなかったのに改めてガックリするナッツ。しかし、銀系統のが出てきたのは初めてだった。
「長い年月の間に、砂などで地中に埋められていったんですね。或いは衝突の際に細かいのが地中にって事もありますし」
 その間に、種族が断定できたと告げる。
「頭部が一部だけ残っているのは奇跡だよ。耳の位置から、どうやらミーア族らしいね。レダ族や人間は目と水平になるように耳の位置がある。ミーア族の場合個人差はあるものの、これはどう考えてもその上に位置しているみたいだね」
「おお〜」と皆から拍手されるセリュシ。
「でも、疑問が残るのでございます。何故骨が散らばっていたのでございましょうか?」
 メモし終えたヴァイオラが問う。
「もしかして……衝突時に飛び散った隕石の欠片が、偶然遺体に当たったとか?」
 マロニエが言うと、セリュシは何も言わない。つまり否定はしない。
「ずっと昔といっても、年代特定は必要だろうねむ持ち帰るには少し丈夫なものでないと難しいよ」
 マロニエが偶然にひょいと掴んだ骨は関節に当たる部分で、しかも崩れなかった。
 それを含めて、丈夫だった一部の骨を魔導科学開発局へ持ち帰る事にし、残りはナッツが掘った穴へ埋め、墓としたのである。

【NPC一覧】

スオミ・ヴァーサ
24歳。情報通信報道局所属の気象予報士。
降石予報も一応担当。
エミリア・ラツィオ
22歳。情報通信報道局所属の新人アナウンサー。
スオミの後輩に当たる。
雑学趣味らしい。

【PC一覧】

ラディ・フェリローズ
一般市民 11歳 男性 学生
イザーク・ファーレンス
フォーリナー 24歳 男性 マーシナリー
アイラ・ミシェル
フォーリナー 21歳 女性 モデル
ルース・サーバイン
一般市民 29歳 男性 ディテクティヴ / 栄野れ〜いちさんのPC
マロニエ・シャムシール
上級市民 26歳 女性 魔導科学研究員 / ネコガスキーさんのPC
ヴァイオラ・ノインツィヒ
スレイヴ・ドール 12歳 女性 ハンターギルド監察官 / TEDのPC
レイス・カルヴンクルス
パラサイト 24歳 男性 バウンディハンター / 月狼さんのPC
ナナイ・サーアイヴァー
一般市民 21歳 男性 マーシナリー
セリュシ・オーシャン
レダ族 23歳 女 医師
リーン・ファーティア
一般市民 21歳 男性 ディテクティヴ
シズ・バランシェ
スレイヴ・ドール 21歳 男性 メイド
シン・マジャスト
上級市民 16歳 男性 学生
ナッツ・マカパルト
一般市民 18歳 男性 実業家

 レイスさん、セリュシさん、ナナイさんとは、第1回から引き続いて同じシーンに登場。アイラさん、マロニエさんとは「華胥の国の花嫁」でも同じシーンでした。
 イザークさんとは「パンテーラ」第2回でご一緒しています。
 ラディさんはNW6月号にイラスト投稿されていました。ナッツさんってのはひょっとすると、スナイパーのスタンダードアイテムとなっている「マカパルトバレット」をエクスマートに投稿した方のPCかな?


●プレイヤーコメント

 今回は前回よりも、絡んでいるPCさんが多め。登場しているシーンが長いと、なんだか活躍しているような気分になりますね。

 シナリオ「セレノスの魔女」との関連性を疑った一人ですが、関連性は薄かったようです。セレノスの遺跡はSF的な超科学文明であるのに対し、こちらは「文明のあけぼの」的な原始人の遺跡です。
 ただ、セレノスの遺跡とグランダ・クレーター・エリアの遺跡が同年代のものであることは確かで、数千年前のイリテュイアには月の超文明と、地上の原始的な獣人の文明、二つの文明が存在したことがわかります。


●送ったイベントハガキの内容

■目的
 白骨遺体の調査に立ち会い、場を仕切る

■動機
 殺人事件にせよ、歴史的価値のある古い時代の人骨であるにせよ、専門家の鑑定が済むまでは、現場を荒らさないよう注意すべきです。

■プロット
 専門家(遺体を調べるアクションをかけているPCのうち、学者もしくは医者であるもの)が優先的に行動できるよう、現場を仕切ります。現場の写真を撮影し状況のメモを取るなどして、調査が適切に行われたかを監察します。法的な手続きが必要であれば、自分で率先して必要な諸手続きを引き受けます。(ただし、ヴァイオラは生真面目というよりも、優等生ぶった猫かぶりさんなので、自分のミスで不手際があった場合は虚偽報告をして揉み消しちゃいます)
 遺体が身に着けている衣装や装飾品については詳しく観察し、特に詳しくメモを取ったり、専門職のPCに質問したりします。……途方もない空想ですが、白い石が遺跡、遺体はその住人とすれば、「ブレンバルト・ジャーナル」の記事にあった、セレノスで発見された遺跡(イベント1502「セレノスの魔女」、ヴァイオラも参加予定)と関係があるのではないでしょうか。衛星セレノスとイリテュイア・リングは元は一つの惑星だったと言われておりますし……。もっとも、論理的ではない、途方もない考えなので、同じ考えを口にする方がいれば「そんなことが有り得るのでございましょうか?」と否定的な疑問を挟みます。……あ、白骨遺体が「グランダ・クレーター・エリアの魔女」として復活して観測ツアー参加者全員を惨殺という、ホラー映画みたいな展開はちょっと嫌ですね☆


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