ステラマリス・サガ 天上の楽園へ
イベントリアクション1502 セレノスの魔女 第3回

「セレノスの魔女 B-PART」

和田好弘マスター執筆


リアクションあらすじ

 旧エウリュノメ関係者の生き残り、スー・シータとサン・ローが調査団に加わる。シータは魔女が所有している人造メモリシアの回収が目的である。
 制御室で発見されたクリーチャーとミイラ化した古代人の遺体は、専門家の鑑識に任されることになった。古代人の顕著な特徴としては、ステラマリス人より小柄で、指が六本あるということである。古代文字の解読を試みた者もいたが、まったく未知の言語である上に残された資料も少ないため、芳しい成果は得られない。
 遺跡の宿舎跡と思われる区画を探索していたグループは、遺跡の清掃・修理システム「ちびマネキン」との遭遇の後、「セレノスの魔女」たちが根倉にしていたと思われる部屋から、先遣隊の遺品である武器などを発見する。
 遺跡の中枢へと向かったハンターたちは、魔女たちとの最終決戦に挑む。生け捕りにするか、殺すかで意見の統一が図れないハンターたちは、三人の魔女たちの攻撃に苦戦を強いられるが、援軍が到着してからは巻き返しを図る。一人、二人と倒されてゆく魔女。ところが、三人目の魔女は敗北を悟ると、戦闘不能に陥った他の魔女を破壊し、自分自身もハンターたちの攻撃をわざと誘って自らの命を絶つ。他の魔女たちがスレイヴドールであったのに対し、最後の魔女は生身の人間であった。
 セレノスの遺跡調査は終了した。遺跡の機能も判明した。それはメモリウムを抽出し、《水惑星》シュガーメモリシアを生成するためのシステムで、リュー・シグマらが当初考えていたものとは違っていた。当初の推測とは何だったのかと問うハンターに、シグマは一言「ゼーレンヴァンデルグの環」とだけ答えた。
 同じ頃、事件の首謀者たちはひそひそと密談を交わしていた。「人は、この世界から消えうせるべきだ」と話す首謀者は、次の目標をセレノスと対になるもう一つの月、ルーニアへと定めるのであった。

ヴァイオラの登場シーン・ピックアップ

Scene 1 「調査 [Investigation]」より一部抜粋

 さて、そのシータはというと、ハンターたちについて遺跡内へと入っていた。
 彼女曰く「せっかくセレノスにまで来たんだから」ということらしい。それに加え、魔女が持っていると思しき人造魔珠アーテイフイシャルメモリシアを回収することが目的でもある。
 その人造魔珠については、先ほどファランクス・フィルレーンと話をして、シータは少しばかり不機嫌になっていた。

「人造魔珠を扱える奴は限られている。でだ、スレイヴドールで同じように扱えるできたら、あんたらの負担も減るってもんだろ? そういうことでよ、魔女を処分せずに済む方法を考えてくれや」
「また古い話をもってきたわね。確かに、試作品の人造魔珠は私たち兄妹しか使えないわよ。私たちの精神波長にあわせて調整チューニングしてあるんだから当然よね。
 魔女が使っていたのは汎用型人造魔珠。汎用よ。は・ん・よ・う。誰にでも扱えるように改良、調整したものよ。だから魔女にも扱えたんじゃない。
 私たちがこの十年、ただ遊んでいただけとでも思ったの?」
 シータがファランクスに答える。そしてこう言葉を続けた。
「それに魔女をどうこうするのは、遭遇し、戦闘状態に陥った場合、現場の者が決めることよ。それとも、私と、シグマと、スイ、ついでにローの四人だけで捕らえろっていうのかしら? そういう風にも聞こえるわよ?」

 シータはそういって、ファランクスの胸に指をつきつけていた。
 そんなことを思い出しながら、ビアンカ・サフェイセスは落ち着かな気に、すぐ隣を歩いているシータをちらちらと見ていた。
「どうしたの? なんだか云いたそうにしてるけど?」
 ちらちらと自分に視線を彷徨わせているビアンカに、シータが尋ねた。
「そ、その、聞きたいことがあるのです。
 シータ様たちは、スレイヴ・ドールが血を流さないから嫌いと仰っていましたね。確かに私たちは『壊れる』だけで、『傷付き』はしませんけど、心が痛みます。あるはずがないのに……。変でしょうか?」
 沈んだ面持ちでビアンカが胸を押さえた。
「あ〜、違う違う。それはそういう意味じゃないわよ。そんな深い意味なんてないの。私たちだってそこまで傲慢じゃないわ。まさしく言葉通りそのままの意味よ。オメガの口癖……みたいなものね」
 ビアンカは怪訝な顔をして首を傾いだ。
 シータは言葉を続ける。
「タウはオメガをこう評していたわ。『スプラッタムービーばかりに快感を覚える女』って。彼女は切断された躰から吹き出す血潮を浴びること。それがなによりも好きだったから。まあ、快楽殺人者サイコってわけじゃかったから、そういうことは殺すべき相手にしかしていなかったけれどね。それに、どうしてそんな趣味になったかっていうのも、みんな知ってたから。精神的外傷トラウマっていうのは時として妙な弊害を生み出すものよ。
 ところで、お姉さん。スレイヴ・ドールに心がないって、誰が決めたの?」
 シータがビアンカの鼻先にビシっと指を突きつけた。
 心の有無。そんなこと考えもせず、無いものだと思っていたビアンカには、そのシータの指摘はあまりにも衝撃的だった。
「随分とロマンチストですね」
 ウォルフラム・チャンティクリアがくすくすと笑いながら云った。
 白髪紅眼という外見に、あまり抑揚のない理知的な話し方から、シータには冷たい印象を受けていたのだ。
「私が? 冗談でしょう」
「いえ、十分にロマンチストですよ」
 ジェイド・ゴールドウィンがビアンカの反応を興味深気に眺めながら答えた。
 途端、シータが顔をしかめる。
「なんだかからかわれてる気分だわね。でもあなたたちはこういうことを考えたことはないの? それはスレイヴ・ドールに限ったことでもないのよ。ねえ、人に、本当に心はあるのかしらね?」
 さすがにこんな質問が出てくると思わなかったのか、皆が足を止めた。
「人間であるのなら、あって然るべきものではございませんの?」
 ヴァイオラ・ノインツィヒが小首をかしげながら、シータに答えた。
「定義の付けられない暖昧なものである以上、心の有無について語るなんてナンセンスもいいとこよ。そうは思わない?」
 シータがヴァイオラに答える。
「所詮、こういう考えというものは、脳の神経細胞で行なわれている信号のやり取りによって生み出された産物に過ぎないということよ。これのどこがスレイヴ・ドールのそれとちがうのかしらね? さして変わりゃしないわよ。ねえ、そうは思わない?」
 シータは自分の頭を指差すと、満面の笑みを浮かべた。
「なんか、えらい方向に話がいってるな」
「いま話すようなことか?」
 リカルド・バウマンルース・サーバインが呆れたように呟いた。

Scene 3 「走狗 [Underling]」より一部抜粋

 この遺跡の存在目的となる部分。制御室よりコントロールされ、動力部よりエネルギーが送られている場所。そこヘマキシマムス・フレマスたちは向かっていた。
 そこがこの遺跡でもっとも重要な部分。そして、魔女が破壊を宣言した場所だ。
 だができるならその場所の手前で魔女とは遭遇したい。
 そこで彼等は、その場所の近くにある倉庫で待ち伏せしていた。直ぐ手前のホールで待ち伏せということも考えたが、そこには、他のチームが集まっているはずだ。最悪、自分たちの読みが外れたとしても、防衛に関しては大丈夫だろう。
「ここで待っていれば魔女はくるのかぁ?」
 相変わらずのミーア族的な調子で、フェイ・ムーナがマキシマムスに問う。
「絶対じゃないがな。可能性は高い」
「だけどよ、こんな所で大丈夫なのかよ」
 イェルネ・ウノが辺りを指し示した。
 だだっ広い倉庫には、わずか三つのコンテナが積んであるだけで、遮蔽物らしい遮蔽物はなにひとつない。これでは隠れることなどできようもない。
「このおっさん以外はチャンバラ専門なんだぜ。まともに近づけんのかよ」
 イェルネにおっさん呼ばわりされて、イザーク・ファーレンスが顔をしかめた。まだ24だというのに。
「俺が足を止めてやるぜ」
「『風刃』はどうすんだよ」
「避けりゃいいだろ」
 イザークが子供相手に無茶を云う。
「魔女は殺したくない」
 エスト・ラーゼが皆にいった。このチームではまだ、魔女への対し方が統一されていないのだ。殺すか、生け捕るかで。
「そんな悠長なこと言ってられるか!」
「殺してしまったら情報は得られない。生け捕りがベストだ」
 セリアス・クレイドルが静かに云う。その表情からはなにも読み取れない。
 正直、魔女を捕らえたいのは山々だ。だが魔女の戦闘能力考えると、かなり難しい。
 だがエストが云っていることは、それとはまた違っていた。彼の決意していること。
 それは鹿女を助け、逃がすことだ。それが、彼の正義がだした結論。
「へえ、待ち伏せかぁ。でも、選んだ場所はここでよかったの?」
「ああ、ちょうど良かった。この間の仕返しができるわ」
「きゃははは。驚いてる驚いてる。まさか三人相手とは思ってなかったみたいねー」
 突然加わった女の声が、マキシマムスたちの注意をひきつけた。
 ネコ走りに立つ3人の魔女。いずれも武装らしい武装はしていない。だが、全員が薄手の、明らかに戦闘用のスーツを身に付けている。鎧用の耐火耐酸性に優れたスーツ。とはいえ防弾性は皆無に等しい代物だ。そして唯一装備している篭手には、魔珠と人造魔珠がふたつづつ装備されている。人造魔珠は魔珠と似て非なるモノ。魔珠を四つ装備するのは自殺行為だが、魔珠ではない人造魔珠との組み合わせならば、こうして四つ装備することも可能なのだ。
 魔女たちは飛び降りると、皆に向け手を伸ばしながら駆け出した。
「散開しろ!」
 マキシマムスが叫ぶ。
 直後、魔女たちが『風刃』を放ち始めた。
「牽制する! とっととバラせ! 相手はスレイヴ・ドールだ! 遠慮はいらねえぜ!」
 イザークが魔女に向けヴァルキリーを撃つ。だがスナイパーライフルというものは本来、近距離不規則動体目標を撃つのに適している銃ではない。ましてや目標の末端部を狙うとなるとなおさらだ。
「ちっ、当たらねーっ!!」
 イザークが呻きながら、柱の陰に逃げ込んだ。ここで隠れられる場所。それはコンテナと、倉庫壁に規則正しくできている柱の凹凸だけだ。イザークは手早く装弾リロードする。だが、魔女三人相手では手間が掛かりすぎる。
「うわあ、卑怯だぁー!」
 フェイが喚きながら、コンテナの陰へ逃げ込んだ。『風刃』を全部避けるつもりで鎧を装備しないできたのに、相手が3人では探し切るのはさすがに無理だ。
「ど一すんだよ、これじゃられるだけだぜ!」
 イェルネが扉近くで一緒に隠れているセリアスに向かって喚いた。
 不意に、銃弾と『風刃』が飛び交っている間に、白っぽく淡く光る球が出現した。
 直後、とんでもない爆風と冷気が周囲に襲い掛かった。
 重いコンテナまでもがその爆風でズレ動き、思わずそこから飛び出したフェイは十数ミュールも宙を舞い、壁に激突した。
「な、なんだよこれーっ!」
 爆風で壁に礫になりながら、イェルネが騒ぐ。だがセリアスは前屈みになって、爆風に耐えていた。そしてその眼が見ているもの。それは柱の陰に逃げ込み、爆風をやり過ごしている魔女たちの姿。
 やがて爆風が止み、辺りに氷の結晶がちらちらと舞う。
「これは……かなりキツイですね」
 この爆風の原因、圧縮空気の爆弾を放ったジェイドが眩暈を起したようにふらつき、ビアンカに支えられていた。
 ウォルフラムたちの隊が到着したのだ。
「あ〜、それは人造魔珠のせいよ。それが試用品なのは知ってるでしょ。一個一個調整を変えてあって、もっとも効率的な、使っても疲れの少なく且つ威力も大きいものを調べるのが目的なのよ。どうもその『妖』はダメだったみたいね。それに、威力を大きくしすぎっていうのもあるけれど」
 シータがジェイドに説明した。
「すこし休んだ方がいいわよ。魔法の使い過ぎと同じ状態だから。……ごめんね」
 シータがジェイドに謝った。
「助かった」
「礼は早いですよ。彼女達は健在です」
 ウォルフラムが指差す先には、魔女たちが悠然と立っている。だが攻撃をすぐに仕掛けてこないのは、今の爆風がなにかを認知できないため、警戒しているからだろう。
 叩くなら、いまが好機だ。
「私が止めますわ。皆様、退がっててくださいまし」
 ガトリングガンを両脇に抱えるようにして、ヴァイオラが進み出た。
 かくして、ヴァイオラの凶悪的な銃撃が魔女に襲い掛かった。
「こりゃまた派手だわね。……だけど、相手もまた随分と効率的な防御法をとること」
 魔女のひとりが、ふたりの前に立ちはだかり、自ら盾となって銃弾を防いでいるのだ。
 こんなことをすれば、たちまち銃弾で全身を穿たれ、あっという間にスクラップと化してしまうのに、このスレイヴ・ドールは銃弾をものともせずに弾いている。
「おい、どうなってんだ!?」
「……『硬度』あたりを使っているのかしら? 『超』と組み合わせればああゆうこともできるけど、無敵になるわけじゃなし」
 シータがリカルドに肩をすくめて見せる。
 がららららららら……
 ついに弾丸が尽き、あたりを空薬爽で埋め尽くしたヴァイオラが、やっとガトリングガンを降ろした。
 果たして、魔女は無傷のままその場に立っていた。腕を交叉させ、自らの顔面を守るような格好で。
 だが――
「いくら自らの装甲を固くしても、その衝撃までは吸収しきれるものじゃないわ。あれだけの銃弾を受ければ、機能停止どころか、負荷がかかりすぎて各部がオーバーヒートするわよ。更に銃弾の熱量も加わる。……多分、中枢も焼き切れてるわね。とはいえ残りふたりを完全に守ったという点では見事」
 全身から煙を立ち昇らせ、オイルを噴出したスレイヴ・ドールは膝をつくと、前のめりに倒れた。
 これで、残るは2体。
「仕留めますよ!」
 ウォルフラムが抜刀し駆け出し、リカルドとルースがその援護に回る。
 『風刃』は真っ直ぐにしか飛んでこない。
 落ち着いて見れば、それを避けることは十分に可能だ。
「きゃはははは。勇か〜ん!」
 魔女がウォルフラムに手を向け――
「くぬやろーっ!」
 脇から突然襲い掛かってきたイェルネの一撃に、魔女は間を取るべく二人から跳ねるようにして逃げ、体制を整えようとし……。
 ぎん! ぱきぃん!
 突如魔女の右腕が弾けた。一瞬、ほんの一瞬動きを止めた隙を、リカルドとルースの銃撃が魔女に襲い掛かったのだ。
 しかも、銃弾の一発は『風刃』を撃ちぬいていた。
「しまっ――」
 どっ!
 そして更にウォルフラムが剣を魔女の胸につきこみ、そのまま背後のコンテナに激突するような勢いで突っ込んだ。
 魔女の体を突き抜けた刃が、コンテナの壁面をも貫き、魔女を礫にした。
「こ、こんな……こんな……なんで……」
 驚いたように目をぱちくりとさせた魔女、スレイヴ・ドールは、目を見開いたまま機能を停止した。
 これで、残るは一体。

 セリアスとマキシマムスが魔女に襲い掛かっていた。共に得物は光学兵器、レーザーソードとレーザーブレードα。
 魔女がマキシマムスの横殴りの斬撃を躱す。だがそれを待ち構えていたセリアスの一撃を躱すことは不可能だ!
 魔女に当たる手前で、レーザーソードが曲がり、魔女を避けた。
「『歪曲』!?」
「きゃは! ざ〜んねん」
 魔女が至近距離で『風刃』を放った。だがセリアスも只では倒されない、『風刃』で弾き飛ばされ様に、シルバーダガーを魔女に投げつけた。だがそれも『歪曲』の影響で狙いが逸れ、魔女の頬を掠めただけだった。
 慌ててマキシマムスも仕切りなおすために間合いを広げる。
 そして魔女はその間に右腕をあらぬ方向へ向け、『風刃』を放った。
 ぎゅぼっ!
 嫌な音を立てて、ウォルフラムたちがコンテナに磔たスレイヴ・ドールの頭が『風刃』で両断された。これで、このスレイヴ・ドールは完全に死んでしまった。
「そこまでするか!」
 マキシマムスが歯軋りした。
 魔女がにやりと笑む。
 だが、次の魔女の行動に皆が自分の目を疑った。
「こうさ〜ん。あたしのまーけ。まけまけ」
 魔女は魔珠を全て外して投げ捨てると、手を挙げた。
「投降するわ」

 壁に叩きつけられた激痛から立ち直ったフェイが、やっと起き上がると、戦闘はもう終わった後だった。
 手を上げ、抵抗するそぶりも見せない魔女に、皆が用心深く距離を詰めていくところが見えた。
 慌ててその場にフェイが駆け寄る。
 どうやら、みんなが魔女に勝ったらしい。
 エストはフェイが駆けてくるのに気が付いた。あの調子なら、どこも怪我はしていないのだろう。これで一安心だ。
 あのふたりは残念だったが、彼女は壊さずに……殺さずに済んだのだ。
 エストが視線を魔女に戻す。
 魔女も神妙な面持ちでフェイに視線を向けていた。
 そして――
「きゃは! あんたたち甘すぎー。あたしが本当に降参すると思ったの?」
 べ〜っと舌を出してフェイを睨む。
「なっ!?」
 バカな、もう武装解除しているというのに、この後に及んでなにをする気というのか?
 魔女はフェイになんの装備もされていない右腕を向け、フェイは、魔女が武装解除していることを知らないフェイは抜刀し――
 その時になって、エストは気が付いた。
 魔女の頬から流れる赤いもの。
 それは――!?
「血!?」
「フェイ! 彼女は魔珠を――」
 止める間もなく、フェイが『風刃』を放つかのような動きをした魔女の首を刎ねた。
 たちまち頭部を失った首から血が噴水のように噴出し、刎ねられた頭部が、鈍い音をたてて床に落ちた。
 スレイヴ・ドールなら首を斬り落としても、すぐにパッテリーさえ繋げば中枢は生き残る。記億は残る。だが――
 シータはその戦いの終りに背を向けて、目を瞑り、震えながら立っていた。
「シータ様……?」
「……私は、嫌なのよ」
 シータが呟くようにビアンカに答えた。

 セリアスは疑問だった。投降し、もはや勝ち目はないことを自覚していたのに、なぜ魔女はあんな行動をとったのか?
 そして、自らの瞳に映った魔女の最後の光景を思い出す。
 魔女は、殺される直前、追る白刃を見て満足気に笑ってはいなかったか?

【NPC一覧】

スー・シータ(04-θ)
人造魔珠研究所所長。
リュー・シグマ(06-σ)
セレノス調査団リーダー。
スイ・シグマ(10-Σ)
リーダー補佐(一応)。
セレノスの魔女
死亡。

【PC一覧】

ファランクス・フィルレーン
フォーリナー 46歳 男性 ハンター / 銀 -Sirogane-さんのPC
ビアンカ・サフェイセス
スレイヴ・ドール 2歳 女性 メイド / 豊田みなみさんのPC
ウォルフラム・チャンティクリア
貴族 31歳 男性 ハンター / Kei SchreierさんのPC
ジェイド・ゴールドウィン
上級市民 24歳 男性 魔導科学研究員 / 豊田みなみさんのPC
ヴァイオラ・ノインツィヒ
スレイヴ・ドール 12歳 女性 ハンターギルド監察官 / TEDのPC
リカルド・バウマン
フォーリナー 31歳 男性 フリーター / 亀村さんのPC
ルース・サーバイン
一般市民 29歳 男性 ディテクティヴ / 栄野れ〜いちさんのPC
マキシマムス・フレマス
フォーリナー 27歳 男性 マーシナリー
フェイ・ムーナ
ミーア族 15歳 女性 猟師
イェルネ・ウノ
パラサイト 13歳 男性 格闘選手 / ささもとさんのPC
イザーク・ファーレンス
フォーリナー 24歳 男性 マーシナリー
エスト・ラーゼ
パラサイト 18歳 男性 ハンター
セリアス・クレイドル
スレイヴ・ドール 10歳 男性 メイド / みかかさんのPC

●プレイヤーコメント

 ヴァイオラは二箇所のシーンに登場しています。
 魔女の一人をガトリングガン二挺で蜂の巣にしていました。
 スレイヴドールには同情的だけれど、和解は不可能っぽいし、どうせ助けられないのなら、手加減せず全力で戦う、というようなイメージでアクションをかけました。
 本当に容赦なく叩き潰してます(汗)。
 迷ったりする部分はNPCメッセージの方に盛り込んだのですけどね。
 同じ月の別シナリオ(クロニス星霊祭)で、スレイヴドールを操っていた黒幕を蜂の巣にした後、同胞たちを弔っていたのとは対照的で、読み比べながらヴァイオラの心情をあれこれ想像するのが面白かったです。


●送ったイベントハガキの内容

■目的
 魔女と戦い、決着をつける

■動機
 スレイヴ・ドールが犯罪に利用、マイナスのイメージが広がることへの懸念。これはスレイヴ・ドールである自分が、決着をつけなければなりません。

■プロット
 ガトリングガン二挺を携帯し、遺跡中枢へ向かいます(二丁拳銃が不可なら、一方は予備扱い)。主に威嚇や牽制に使い、こちらに注意を引き付けて、近接戦闘を得意とする仲間への注意を逸らすのが主な用途でございます。とは言え、この装備は、大規模な破壊活動が任務失敗に繋がる遺跡中枢での戦いにおいて、あまり適切でありませんことは念頭に置きます。もっとも、遺跡を破壊されて、ノーリスクで帰すわけにはいきませんわ。遺跡が破壊されてしまえば、こちらも遠慮は要らなくなりますから、魔女に対して任務の達成か自己の保身か、二択を迫ることができます。
 魔女が手の内を明かし、更なる切り札の存在を示唆したのは、こちらの動揺を誘うための心理的作戦だと思われますわ。今までの経緯を見る限り、ハッタリは相手の得意技でございます。慎重に行動すべきか大胆に行動すべきか二択を迫る場面があれば(どちらかといえば、私はそんなときには慎重になるほうでございますが)、それはブラフである確率が高いと判断し、相手に切り札が残っていない可能性に賭けます。


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